職場でこんな風に感じたことはありませんか?
「どうして私だけがこんなに大変なの…」
「これ以上、仕事を増やさないでほしい」
「周りの人は、私の大変さを何も分かってくれない」
もし、一つでも当てはまるなら、少しだけ私の話にお付き合いください。
何を隠そう、これらはすべて、数年前の私が抱えていた心の叫びだからです。
当時を振り返ると、周りの人すべてが「私の仕事を増やす敵」に見え、心に厚いバリアを張っていたように思います。
しかし、育休中の学びが、私の働き方を驚くほど楽なものに、職場を居心地の良いものにしてくれたのです。
自分で働きにくさを作っていた育休前
息子が生まれる前、私の頭の中は「家族のために頑張らなければ」という責任感でいっぱいでした。
「妻を助けないと」
「娘の面倒も家事も全部やらないと」
そう考えること自体は、決して苦ではありませんでした。
むしろ、私の頑張りで家族の笑顔が増えることは、何よりのご褒美でした。
しかしその一方で、職場にはどんどん居づらくなっていきました。
家庭で全力を尽くしている分、職場では「これ以上、余力はない」と、無意識のうちにバリアを張ってしまっていたのです。
心の根底には、「仕事を増やす人間は敵だ!」「全員、私の大変さを理解しろ!」そんな傲慢な考えがあったのかもしれません。
今思うと、周りの同僚にとっては非常にやりにくい、良くない状況だったと反省しています。
考え方を変えてくれた育休中の3つの学び
そんな私の考え方が大きく変わるきっかけとなったのが、息子が生まれた後の育児休業でした。
家庭や地域での様々な経験が、凝り固まった私の価値観をほぐしてくれたのです。
1. 妻との関係で学んだ「支え合い」の心地よさ
夜泣きの対応や終わりのない家事。
夫婦で協力する中で、「支え、支えられ、甘え、甘えられる関係でいいんだ」と心から思えるようになりました。
というより、途中からそうしないと家事育児が回らなくなってしまったんです。
しかしそんな経験から、誰かを支えるとき、そして誰かに甘えるとき、私は肯定感や「自分は役に立っている」という有用感を感じ、幸福度が高まるのだと気づいたのです。
2. 家庭菜園で学んだ「好き・得意」のパワー
育休中に始めた家庭菜園。
夏の暑い中での草取りも、大汗をかきながらやるのが不思議と気持ちよく、全く苦になりませんでした。
この経験から、「自分の好きなことや得意なことは、大変でも苦痛にはならない」ということを学びました。
本業でもこんな風に働けたら、ストレスなく働けるだろうなという、理想の働き方を見つけることができました。
3. ご近所付き合いで学んだ「おすそ分け」のコツ
ご近所さんとの交流で、採れた野菜をおすそ分けされたり、お返ししたりする機会が増えました。
そこで学んだのは、「自分のできる範囲でおすそ分けするだけで、相手はとても喜んでくれる」ということ。
たとえ自分にとっては「食べきれないから」という理由であっても、受け取る相手にとっては嬉しいものなのです。
「無理なく、気楽に」それがおすそ分けのコツでした。
「労働力のおすそ分け」職場は支え、支えられ
これらの学びは、私の職場での行動を根底から変えてくれました。
育休から復帰してまず感じたのは、深刻な人手不足でした。
しかし、以前の私なら「最悪だ…」と落ち込んでいたはずが、そのときは「私が一人いるだけで、皆さんの負担をかなり減らせるな」と自然に思えたのです。
自習監督や電話番など、誰がやってもいい仕事は積極的に引き受けました。
私がそれをやるだけで、他の人は本来の業務に専念できます。
そして、ハッと気づいたのです。
私が育休を取っている間、同僚たちが私の分の仕事をカバーしてくれていた。
それはまさに、同僚たちが私に「労働力」をおすそ分けしてくれていたということなのだと。
育休を取ったことに後悔はないし、申し訳ないと思う必要もありません。
でも、その間を支えてくれたことへの感謝の気持ちは、心の底から湧き上がってきました。
「今度は私がお返しをする番だ。」
この時点で、私の考え方は180度変わっていました。
「仕事を振る人間は悪」から、「今度はこちらがお返しとして、皆さんの仕事をもらわないと!」と思えるようになっていたのです。
3つの学びで変わった働き方
そこから私は、育休中の3つの学びを仕事に応用し始めました。
1. 自分のキャパシティを知り、「得意」を活かす
まず意識したのは、無理してお返しをするのは違う、ということです。
自分のキャパシティを超えてしまっては、持続可能ではありません。
これはご近所付き合いの中で学んだことです。
そのときに役に立ったのが、家庭菜園で学んだ「好きなことや得意なことは苦ではない」という視点です。
職場全体の仕事の割り振り表を見て、自分にできそうなこと、苦にならなそうなことを探しました。
以前なら見向きもしかなったし、見て見ぬ振りをしていたかもしれません。
しかし、最近は違います。
同僚が困っている仕事の中で、自分が得意な分野があれば積極的に「やりましょうか?」と声をかけました。
そうすると、返ってくる「ありがとう」の一言が、本当に嬉しいんですよね。
私が労働力をおすそ分けすると、「ありがとう」のお返しが返ってくるような感じです。
この「ありがとう」は私の肯定感や有用感を高めてくれるありがたい言葉です。
他者が「ありがとう」と思うことをする。
そのお礼としてお金がもらえる。
これこそが、仕事の本来の姿なのだと感じました。
2. 助けを求める「甘え上手」になる
驚くかもしれませんが、私の方から同僚に「お願い」することも格段に増えました。
育休前は、「誰からも仕事を振られたくないし、誰にも仕事を振らない」というスタンスでした。
それが今では、「教えてください」「お願いがあります」と頼むのが、全く苦ではなくなったのです。
「ちょっとパソコンの使い方、教えてもらっていいですか?」
「ここまではやったんですけど、混乱してきたので一緒に確認してもらっていいですか?」
もちろん、断られるときもあります。
でも、それでいいんです。
ご近所さんに野菜をおすそ分けしてもらえなかったからといって、怒る人はいませんよね。
それと同じで、労働力をおすそ分けしてもらえなくても、怒るのは少し違うと思うのです。
断られたら、別の人にお願いに行くか、もう少し自分で考えてから、理由を添えてもう一度お願いしてみる。
それでダメなら、また別の方法を探す。
ただそれだけです。
「助けて」と言えるようになったことで、一人で抱え込むことがなくなり、結果的に仕事が早く終わるようになりました。
仕事量は増えて体力的に大変な日もありますが、不思議と精神的にきついと感じることはありません。
あなたも【社会的な幸福】を感じてみませんか?
かつての私は、「個」で戦っていました。
自分の仕事は自分で完結させ、他人の領域には踏み込まないし、踏み込ませない。
それがプロフェッショナルな働き方だと思い込んでいました。
しかし今は、「チーム」の一員として働けている実感があります。
職場というコミュニティの中で、助け、助けられ、貢献し、感謝される。
その循環の中に身を置くことで、「自分はここにいていいんだ」「自分は誰かの役に立っているんだ」という安心感と自己肯定感に満たされる。
これこそが、私が手に入れた【社会的な幸福】です。
この記事を読んでくださったあなたも、明日から小さな「おすそ分け」「甘え」を始めてみませんか?
まずは、隣の席の同僚に「何か手伝えること、ありますか?」と声をかけてみる。
一人で抱えている仕事の一部を「ここまでやったのですが、少し見てもらえませんか?」と勇気を出して頼んでみる。
無理のない、自分のできる範囲で構いません。
最初は少し勇気がいるかもしれません。
でも、たった一度「ありがとう」が返ってきたら、そのとき、心が満たされていくことを感じることでしょう。
その小さな一歩が、あなたの職場を、そしてあなた自身の心を、温かく幸福な状態へと変えていくはずです。