我が家には、最近言葉を覚え始めたばかりの息子という可愛い宇宙人がいます。
彼とのコミュニケーションは、毎日がまるでクイズ大会。
「パパ、おきて!」
「アンパンマン、あった!」
「トトー、いーい(トトロがいい)」
「プスーン、くーさい(スプーンください)」
こんなふうに、少しずつ言葉が通じるようになってきた今、この「息子の言葉を解読できた瞬間」が最高に気持ちが良いのです。
今日は、そんな我が家で起きた難問クイズと、そこから教わった「世界の見方」についてお話しします。
難問発生!「しゃしゃー」とは何か?
昨日も、息子が必死な顔で私に何かを訴えてきました。
「しゃしゃー、くーさい!」
両手を突き出して駆け寄ってくる息子。
「くーさい(ください)」と言っているので、何か欲しいものがあるのは明白です。
しかし、肝心の「しゃしゃー」がわかりません。
「『しゃしゃー』ってどれ?」
私が聞き返すと、息子は必死にキッチンの方を指さします。
「しゃしゃー!しゃしゃー!」
指さす方向にあるものを片っ端から取ってみますが、どれも「んーん!」と首を横に振るばかり。
これは難問です。
そこで、頼みの綱である妻に助けを求めました。
「ねえ、『しゃしゃー』ってなんだと思う?」
妻は少し考えたあと、あっさりとこう言いました。
「お皿じゃない?」
目から鱗が落ちました。
確かに息子は今、おままごとの真っ最中でした。
「しゃしゃー」=「お皿」。
そう言われてみると、もう「お皿」にしか聞こえません(笑)。
息子に「お皿が欲しいの?」と聞くと、満面の笑みで「うん!」と大きく首を縦に振りました。
この「うん!」もいつの間にか習得していたことにも感動しましたが、実はこの「しゃしゃー」の問題、まだ解けていなかったのです。
子どもの定義、大人の定義
「お皿」だとわかったものの、息子が指さす先にお皿が見当たりません。
仕方なく息子を抱っこして、「どれ?」と直接選ばせてみました。
すると、息子が迷わず指さしたのは「ボウル」でした。
「あ〜、なるほど!」 ここでもまた、目から鱗です。
私たち大人にとって、平たいものは「お皿」、深いものは「ボウル」と名前が違います。
でも、息子からすれば「食べ物を入れる器」は全部「お皿(しゃしゃー)」なんですね。
ボウルを受け取った息子は、嬉しそうにリビングへ戻り、おままごとを始めました。
その背中を見ながら、「理解してもらえた!」という息子の喜びと、私自身の「新しい発見」の喜びを同時に噛み締めていました。
辞書を作るような楽しみ
この出来事を通じて、私はふと、『舟を編む』という小説のことを思い出しました。
辞書を作る人たちは、言葉の意味を定義するために、膨大な思考と議論を重ねるといいます。
今回の「ボウル」と「お皿」の違い。
形状の違い? 深さの違い? でも、ボウルのような形のお皿もありますよね。
息子との会話は、私たちが当たり前に使っている言葉や物の意味を、もう一度ゼロから考え直すきっかけをくれます。
「なぜこれはお皿と呼ぶのか?」
「息子にとっての世界はどう見えているのか?」
言葉が通じなくてもどかしいこともありますし、理解してもらえずに息子が怒り出すこともあります。
けれど、こうして息子と一緒に「言葉を再定義していくプロセス」は、自分の世界が言葉によって新しく色づいていくような、とても知的な楽しみに満ちています。
今だけの「翻訳」を楽しむ
きっと、こんなふうに拙い言葉で話してくれる時期は、あっという間に過ぎ去ってしまうでしょう。
「しゃしゃー」が「お皿」になり、やがて「ボウル」という言葉も覚えていくはずです。
だからこそ今は、このクイズのような毎日を楽しみながら、息子が教えてくれる「新しい世界の定義」を一つひとつ大切に拾い集めていきたいと思います。
皆さんも、もし身近な人との会話で「伝わらないな」と感じることがあったら、それは「相手の辞書」を覗くチャンスかもしれません。
そこには、自分の見方とは違うユニークな世界が広がっているはずです。
今日の小さな一歩
身近なモノを、別の言葉で説明してみよう。
例えば「スマホ」をスマホと言わずに子供や外国の方に説明するとしたらなんと伝えるでしょう。
遠くの人と話せる魔法の板?思い出を保存する箱?
他にも例えば、私にとって「妻」はなんと言い換えられるでしょう。
「娘」は?「息子」は?
そうして言葉の意味を考えるだけで、自分にとっての世界は少しだけいつもと違う景色を見せてくれるかもしれませんよ。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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