皆さんには、「どうやっても仲良くなれない」と感じる相手はいますか?
それは職場の気難しい人かもしれませんし、パートナーの家族かもしれません。
私にとって、妻の実家で暮らすチワワちゃんが、まさにそんな相手でした。
見た目はくりくりっとした目で本当に可愛いのに、私が近づくと、そのおめめは真っ赤に染まり、歯をむき出しにして威嚇してくるのです。
なんなら足や服を噛もうとします。
「あ、私は完全に嫌われているな」と悟るまでに時間はかかりませんでした笑
そんな相手との関係は、つい諦めてしまいがちですよね。
しかし先日、3連休に妻の実家へ遊びに行った際、そんな「警戒心MAX」の彼女との間に、思わぬ進展がありました。
今日は、そんな心温まる体験と、焦らずに関係を築くことの大切さについてお話しします。
牙をむく番犬との「適正距離」
妻と結婚した当初から、そのチワワちゃんは私にとって「最大の難関」でした。
それはそれは吠えられましたし、お借りしたスリッパを噛まれもしました笑
しかし最近は、義実家が留守になる際に私たちが一緒にお留守番をしたり、長期間いないときは我が家にお迎えしたりする機会が増えました。
そのおかげか、少しずつ距離が縮まり、「触らなければ噛まれない」というレベルには到達していました。
最近では、私がリビングにいても、近くの床に座ってきたりします。
「お、心を許してくれたか?」と調子に乗って撫でようとすると、即座に噛みつかれます笑
あくまでも「適正な距離感」でのお付き合いが必要なのです。
その日、事件は起きた
昨日のこと。
私と娘と息子が昼寝をしている間に、妻たちは買い物に出かけていました。
家には私たち3人と、チワワちゃんだけ。
私たちが起きてリビングで遊んでいるときも、子供のうるささが嫌いなチワワちゃんは、別の部屋で寝ていました。
しばらく遊んでいると、チワワちゃんがリビングにやってきました。
「どうした?おいで?足なめていいよ!」と娘が足を差し出します。
娘と息子はチワワちゃんが大好きなのです。
(チワワちゃんが娘と息子を大好きなわけではありません笑)
私はそれを微笑ましく見守っていました。
すると、チワワちゃんは娘をスルーして、私の足元に来ました。
(こうやって甘えてくるように見えて、触ると怒るんだよな……。)
今までの経験から、私はなるべくチワワちゃんを気にしないように、子供たちと遊び続けていました。
しかし、突然チワワちゃんが私の足に手(前足)をかけ始めました。
「え?何?抱っこしてほしいの?」
今までこんなことはなかったので、こちらも戸惑ってしまいます。
しかし、抱っこをしないのもバランスを崩したら危ない。
「噛まれたらすぐ下ろそう。」
そう思いながら、恐る恐る抱っこして、膝の上に乗せてみました。
もちろん、犬の抱っこの仕方なんてわかりませんが、チワワちゃんのほうで勝手にバランスをとり、居心地の良い体勢に収まったようです。
「なんだこれ?大丈夫なのか?」と体は硬直していました笑
警戒心MAXの相手が、膝の上で寝た
一見すると仲が良さそうに見えますが、今までの経験から「撫でる」という選択肢はありません。
物理的距離と心の距離は違うのです。
今まで勘違いして何度となく噛みつかれました笑
「適正距離」が「ゼロ距離」になった今、私は動けなくなって固まってしまいました。
しばらく固まっていると、娘が目を見開いて私にささやきました。
「パパ!チワワちゃん、寝てる~!」
私からは見えませんでしたが、どうやら気持ちよくて寝てしまったようです。
抱っこしている私も、小さな体温が伝わってきて温かく、一緒に寝てしまいそうでした。
少しだけ心を許してくれたのが嬉しくて、そっと写真を撮って妻に送りました。
妻も「え!?」と驚いていました。
その後、抱っこしてもらいたい息子が「僕もー!」と泣き出すというピンチもありましたが、妻たちが帰ってくるまで、チワワちゃんは無事に私の膝の上で寝ていました。
心は開いてない?「本当の理由」
玄関のドアが開く音でチワワちゃんは顔を上げ、義母の「ただいまー」という声で、私の膝から飛び降りて玄関に行ってしまいました。
少し寂しい気持ちと、仲良くなれた嬉しさと、そして何より「噛まれなかった」という安心感がありました。
義母が「チワワちゃん、いい子にしてた?」と聞くので、
「はい。なぜか抱っこをせがまれて、さっきまで膝の上で寝てました」
と写真を見せました。
「えー!」と驚きつつも、義母はことの真相を明かしてくれました。
「あ~、さっき近所で工事してたから、そのせいだな~。」
……、寂しくて人のぬくもりを求めて来たわけではなく、大きな音が怖くて避難してきただけでした笑
消去法での選択でしたね……。
選ばれる幸福(消去法でも)
でも、たとえ理由が「恐怖からの避難」だったとしても、かなり大きな前進ではないでしょうか。
なぜなら、家の中で一番安心できる「避難場所」として、私を選んでくれたからです。
あれだけ私を威嚇していたチワワちゃんが、「外の工事の音」よりも「私の膝の上」の方が安全だと判断してくれた。
これは、私がお留守番などでゆっくりと築いてきた距離感が、ようやく実を結んだ瞬間だと感じました。
このチワワちゃんはもうすぐ15歳。
娘と息子も(たまに威嚇されながらも)チワワちゃんが大好きです。
人が相手ではなくとも、大切だと思う相手との関係が深まるのは、まさしく【人間関係の幸福】です。
たくさん長生きしてほしいし、たくさん一緒に過ごしたい。
私にとって大切な存在がまた1人(1匹)増えた、心温まる休日でした。
「焦らない」が、距離を縮める一番の近道
今回の出来事は、たとえ理由が「工事の音が怖かったから」だったとしても、私にとっては「距離が縮まった」と感じる、とても嬉しい大きな一歩でした。
もし今、あなたが「どうやっても仲良くなれない」と感じる相手がいるなら、無理に距離を縮めようと焦らなくていいのかもしれません。
相手のペースを尊重し、無理に踏み込まない。
見返りを求めず、ただ穏やかに「そこにいる」。
そして、相手がこちらを必要としてくれた(ように見えた)瞬間を見逃さず、そっと受け入れてみる。
「触ると噛まれる」関係だった私たちが、「膝の上で寝る」関係になるまでには、とても長い時間がかかりました。
なんと約4年です笑
でも、ゆっくりと時間をかけて「適正な距離感」を保ってきたからこそ、チワワちゃんも私を「(工事の音よりは)安全な存在」だと認識してくれたのだと思います。
適当な距離感が、いつか相手の心の壁を溶かし、確かな信頼関係につながる一番の近道なのかもしれませんね。
あなたにも、時間をかけて少しずつ距離が縮まった相手(人やペット)はいませんか?
ぜひ、あなたの「関係性が変わった瞬間」のエピソードもコメントやX(旧Twitter)で教えてください。
それはきっと心がほっこりと温まる、素敵な物語でしょうから。