「このお金、何に使おう?」
大人になると、お金の使い道を考えるとき、つい「損か得か」「効率的か」を天秤にかけてしまいがちではないでしょうか。
もちろん、それも生きていく上で大切な視点です。
でも、この日4歳の娘が見せてくれた900円の使い方は、私に【経済的な幸福】の本質を思い出させてくれる、とても素敵な体験でした。
きっかけは一枚のチラシと、親の心配
昨日は金曜ロードショーを、4歳の娘と最後まで一緒に観ました。
夜更かしに少し興奮気味の娘。
親としては「まだ早かったかな?」なんて心配もしましたが、翌朝はゆっくり寝ていたので、まあ良しとしましょう。
そんなわけで、少し朝寝坊してしまった土曜日の朝。
実は、前々から娘が楽しみにしていた小動物との触れ合いイベントに行く日でした。
「うさぎさんに会いに行くよ!」と声をかけると、さっきまで眠っていた娘が飛び起きます。
このイベント、きっかけは娘が保育園から持ち帰った一枚のチラシでした。
「これ行きたい!」
目を輝かせながら私に見せてくる娘。
しかし、入場料は一人600円。
私たち家族4人で行けば2,400円になります。
正直、私は「高いな」と感じてしまいました。
なぜなら、娘は怖がりで、きっと動物に触れないだろうと思ったからです。
案の定、チラシを見ながら「楽しみ!」と言うのは、イベントの目玉である「触れ合い」ではなく、「宝探しができる砂遊び」でした。
「それなら、公園の砂場でいいんじゃない?」
何度そう言っても、娘の決意は揺らぎません。
「自分のお金で行くならいいよ」
そこで、私は娘にある提案をしました。
「じゃあ、自分のお小遣いで行くならいいよ」
娘は今年の4月から、毎月300円のお小遣いをもらっています。
今日まで貯めたお金は、全部で900円。
この提案には、いくつかの選択肢が含まれていました。
選択肢①:入場料600円を払い、イベントに参加する。残りの300円でイベント限定のガチャガチャができる。
選択肢②:入場を諦め、イベント会場の入場無料ブースでできるストラップ作り(900円)をする。
選択肢③:イベントに行くのをやめて、900円で好きなお菓子を買ったり、別のガチャガチャをしたりする。
親としては、内心③を選んでくれるといいな、なんて思っていました。
イベント当日まで、その気持ちは変わりませんでした。
妻や私が下見に行くと、チラシの写真より「だいぶショボい」というのが正直な感想だったんです……。(よくありますよね)。
これを見たら娘も諦めるかもしれないなんて思って、娘も下見に連れていったほどです。
しかし、娘の気持ちは会場を見たらさらに高まってしまったようです。
だから何度も
「大事に貯めてきたお金を本当にここで使っていいの?」
と聞きました。
それでも娘の答えは「うん!」でした。
「動物さん、怖くて触れないと思うよ?」
「うん!砂遊びしたいの!」
「ガチャガチャとか、お菓子とかのほうがいいんじゃない?」
「今度お祭り行ったときに何も買えなくなるよ?」
あの手この手で諦めさせようとしましたが、結果は惨敗でした。
娘の意思は、驚くほど固かったのです。
娘の覚悟と、私の未熟さ
そして迎えた当日。
イベント会場の入り口で、私は娘に最終確認をしました。
「ここに入ったら600円はなくなるよ?やっぱり嫌だって言っても、お金は返ってこないからね?」
「うん!」
覚悟が決まっていなかったのは、むしろ私の方でした。
娘のお金の使い方に、まだどこかで口出ししたかったのです。
子どもが自分で考えて決めたことを、心から認めて応援できる親になりたい。
そう思いながらも、娘の手から離れていく100円玉を見て、「ああ、娘が一生懸命貯めた900円が、一瞬で消えてしまうんだな」と、少し胸がチクリとしました。
受付で、係のお兄さんに「一人600円です。」と言われ、娘は自分のお財布から一生懸命100円玉を数え始めます。
お兄さんは「お金の勉強中なんだね。」と、その様子を温かく見守ってくれました。
緊張からか、娘が出したのは100円玉5枚。
お兄さんが「600円だから1枚足りないよ。」と優しく教えてくれます。
すると娘はなぜかプチパニックになり、1枚お財布に戻してしまいました。
これも勉強です。
ゆっくり慣れていけばいいのです。
600円の価値は、誰が決める?
無事に入場できた娘は、一直線に砂場へ。
そこからは、もう夢中でした。
砂場には動物の餌を模したおもちゃが埋められていて、宝探しができるようになっています。
他の子は触れ合いに行く中、動物には目もくれず、一心不乱に宝を探す娘。
写真を撮ろうにも、真剣すぎて全く顔が写りません。
砂遊びを満喫したあとは、見つけた宝物を砂に埋め直して、隣の水遊びコーナーへ。
ここでは、水に浮かぶキラキラした宝石のおもちゃを、マジックハンドで取る遊びができました。
これが大人でも難しく、他の子たちはすぐに諦めてしまいます。
しかし、娘は違いました。30分以上も粘り強く挑戦し続け、気づけばおもちゃを入れるお皿は山盛りに。
他の子から、「あの子だけずるい」なんて声も聞こえてきましたが、集中している娘の耳には届いていないようでした。
(娘の名誉のために言っておきますが、宝は取りきれないくらい、まだまだ沢山ありました!)
結局、最後まで動物に触ることはありませんでした。
「ちょっとだけ見に行こうよ」と誘っても、「こわ〜い!」の一点張り。
触れ合いイベントに来た意味とは……と思わず肩を落としてしまいました。
でも、そんなことはどうでもよくなるくらい、本当に楽しそうな娘がそこにはいました。
「楽しかったね〜。」「また来たいね〜。」とニコニコしている娘。
その様子を見たときに思い出し、実感したのです。
砂の中の宝物を探す真剣な横顔、マジックハンドがうまく使えて飛び上がって喜ぶ姿。
その一つひとつが、600円では絶対に買えない輝きを放っていたと。
気づけば、娘の笑顔は私の持っていた「損か得か」という物差しを、あっという間に溶かしてくれていました。
昨日まで「600円はもったいない」と思っていた私が、「娘がこんなに楽しそうなら、600円以上の価値があったな」と本当に心から思えたのです。
お金が教えてくれた、大切なこと
帰り際に、やりたがっていたガチャガチャをしました。
結果は欲しかったものが出て大喜び。
車の中でも、その景品を大事そうに抱きしめていました。
私は、運転しながら何度も娘に聞いてしまいました。
「今日は楽しかった?」
「うん!」
「お金はなくなっちゃったけど、使ってよかった?」
「うん!また行きたい!」
この経験は、きっと娘の中に残るでしょう。
お金は使うとなくなること。
でも、お金を使わないとできない体験があること。
だから、お金の使い方はよく考えること。
そして、「いいお金の使い方」をすると、とても幸せな気持ちになれること。
楽しかった体験とともに、そんな学びが娘の中に残ってくれればいいと思います。
同時に、この日の体験は私自身の価値観を大きく揺さぶりました。
いつから私は、「コスパ」や「効率」ばかりを追い求め、心が震えるような体験の価値を忘れてしまっていたのだろう。
そんな私に、娘は思い出させてくれました。
「使う」ことで得られる幸福は、「貯める」ことで得られる安心感と同じくらい、人生を豊かにしてくれるのだと。
そして、「何に価値を感じるか」「何が幸せか」は、人それぞれだと。
4歳の娘なりに、たくさん考えて出した結論です。
親が心配のあまり口を出したり、別の道へ誘導したりするのは、彼女の学びの機会を奪う「不粋」な行いだったのかもしれません。
あなたにとっての【経済的な幸福】とは?
このブログで追求している【経済的な幸福】とは、たくさんのお金を持つことばかりをいうのではありません。
自分が「これだ」と信じる価値に対して、納得してお金を使い、心からの満足感や喜びを得られること。
それこそが、本当の意味での豊かさなのかもしれません。
あなたも今度、お子さんと一緒にお金の使い方を考えてみませんか?
たとえば、100円ショップで「○円で、みんなで楽しく遊べるものを探してきて。」なんて言ってみるのも面白いかもしれません。
そしてできれば、お子さんがどんな珍品を選んできても、絶対に口出ししないと心に決めてみてください。
親にとっては、なかなかの試練ですが笑
まずは100円から、親も一緒にお金の勉強をしていきましょう。
完璧な金銭教育でなくても、子どもと一緒に悩み、学び、そして彼らの決断を信じて見守る。
そんな時間の中にも、幸せが隠れているのだと、私は思います。