もし、今日が「地球最後の日」だとしたら、あなたは何をしますか?
壮大な問いかけかもしれませんが、少しだけ考えてみてください。
仕事、趣味、旅行……やりたいことはたくさん浮かぶかもしれません。
そのリストの一番上に来るものこそ、あなたの人生にとって最も価値のある「生きがい」なのではないでしょうか。
実は私、この問いの答えが自分の中でハッキリと見つかる出来事がありました。
それは、決して格好の良いものではなく、むしろ失敗と反省に満ちた、嵐のような一日だったのです。
妻がいない、初めての夜
昨日の記事でも少し触れましたが、昨夜から妻が不在で、4歳の娘と1歳の息子の世話を私一人でする、いわゆる「ワンオペ育児」の日でした。
(昨日の記事はこちら↓)
その始まりは、正直なところ最悪でした。
前夜、子供たちが寝静まったのを見計らってブログを書き始めたのですが、すぐに下の子が目を覚ましてしまったのです。
そこから寝かしつけようとしても一向に寝付かず、気づけば深夜1時から3時まで、私はブログを書きながら息子の遊び相手になっていました。
「やっと寝てくれた……。」と安堵したのも束の間、今度は上の子が「パパがいなくて寂しかった」と半泣きで寝室から出てきました。
初めてママのいない夜を過ごす子供たちは、いつも以上に不安定になっていたのでしょう。
結局、ブログを書き終えて眠りについたのは明け方でした。
始まったいつもと違う1日
そんな私を、弟を起こさないように配慮した娘の小さな声が揺り起こします。
「パパ、起きて。朝だよ。」
1歳の弟に配慮できたことは素晴らしいです。
しかし、できれば私のことも寝かせておいてほしかった、というのが本音です笑
朝ごはんの準備をしていると、寝室から息子の泣き声が。
「ゆっくり準備できるのはここまでだな……。」と観念して息子を迎えに行こうとすると、娘がトコトコと私の後をついてきます。
普段はそんなことないのに、やはり心細いのでしょう。
リビングに連れてきた息子は、おもむろにトイレや風呂場のドアをコンコンと叩きながら、「ママー、ママー」と家中を探し始めました。
いつもとは違う二人の行動に、私の胸にも不安がよぎります。
寝不足の頭で、「この長い一日を、何とか乗り越えなくては。」と、自分に言い聞かせるように気を引き締めました。
キャパオーバーと自己嫌悪の渦へ
朝食後、メルカリで売れた商品を発送するために、子供たちとコンビニへ。
「わたしも持つ!」と小さな体で一生懸命荷物を持とうとする娘の姿に、心が少し和みました。
その帰り道、スーパーで買い物をしていると、車の中で娘が「おもちゃ屋さんに行きたい」と言い始めました。
「うん、いいよ。でも先に荷物を置いて、お茶を飲んでからにしようか。」 そう提案した瞬間、娘の表情がみるみるうちに曇っていきます。
すぐに行きたかったのでしょう、「イヤイヤ!」「早く行きたい早く行きたい!」と泣きじゃくり、完全に聞く耳を持たなくなってしまいました。
何とかなだめようとしましたが効果はありません。
車という密閉空間で泣き叫ぶ声を聞き続け、私の心の中で何かがプツンと切れてしまいました。
寝不足、子供たちの不安、見えないプレッシャー……。
自分では「いつも通り」のつもりでしたが、私のキャパシティはとっくに限界を超えていたのです。
「もうダメ。こんな言うことも聞けないならおもちゃ屋さんは無し。」
怒りに任せて娘を叱りつけ、結局おもちゃ屋さんに行く約束は取り消しました。
「怒り」を「怒鳴り」に変えず、静かに伝えられたのは、私の中の最後の理性だったのだと思います。
私は怒ったまま、娘は泣きじゃくったまま、重苦しい空気の中で買い物を終えました。
帰りの車内、バックミラーに映る娘は俯いてすすり泣いたまま。
私は余計なことを言わないように口を固く閉じ、ハンドルを握る手に力をこめます。
家までのわずかな時間が永遠のように感じられ、ひとり無邪気に笑っている息子に助けられた気がしました。
帰宅すると、息子が眠たそうにぐずり始めたので、まずは寝かしつけることに。
その間、娘と私は物理的に距離を置き、互いにクールダウンする時間が持てました。
幸い、息子はすぐに寝息を立て始めます。
リビングに戻ると、そこにいたのはケロッとした表情の娘でした。
「パパ、お茶飲んだし、トイレも行ったよ!」
さっきまでの嵐が嘘のような笑顔。
癇癪を起こしながらでも私が言ったことをしっかりと聞いていたこと、私に褒められようと健気に行動していたことに、私の怒りは霧散していきました。
嫌な気持ちを引きずり、眉間にしわを寄せている私よりも、4歳児の娘のほうがよっぽど大人でした。
「絵本祭り」と、娘の優しさ
「すごいね。」「えらいね。」
と言いながら頭をなでる私に、
「パパ、図書館に行きたいな。」
という娘からの提案。
私は「弟くんが起きたら行こうか。」と約束しました。
「じゃあそれまで『絵本祭り』しよっか?」
ニコニコと私の顔をのぞき込んでくる娘。
たくさん泣かせてしまった罪悪感を振り払うように、私も「いいよ!」と笑顔で答え、二人で夢中になって10冊近くの絵本を読みました。
娘の無邪気な笑顔と、ページを捲るたびに聞こえるワクワクした声に、トゲトゲした私の心が優しく溶かされていくのを感じました。
息子が起きてから約束通り図書館へ。
娘は自分の本を10冊、私は息子のために3冊の本を借りました。
まだ1歳の息子が楽しめる本を探すのは難しいのですが、家に帰って見せてみると、目を輝かせて絵本に食いついてくれ、ホッと胸をなでおろしました。
昼ごはんは、娘と一緒にホットケーキ作り。
焼きあがったホットケーキを、娘は「弟くんと一緒に食べる!」と言って、二人仲良くテレビを見ながら食べていました。
「一緒に食べると、おいしいね。」
娘は、誰かと食べ物をシェアするときに、よくこの言葉を口にします。
誰が教えたのか分からない言葉。
しかし、その優しい心はいつまでも大切にしてほしい。
心からそう思いました。
失敗の先に見つけた「生きがい」
少し遅めの昼寝の時間。
先に息子を寝かしつけ、次に娘の隣に横になりました。
ママがいなくて寂しい気持ちを、きっと一生懸命に紛らわせていた娘。
それなのに、その小さな心を理解しようとせず、自分の感情をぶつけてしまった……。
父親として本当に未熟だと、静かな寝室で深く反省しました。
弟の寝かしつけが終わり、ようやく自分の番が回ってきたことがよほど嬉しかったのでしょう。
隣で添い寝をする私を見て、娘はニコニコと満面の笑みを浮かべ、なかなか寝付こうとしません。
その幸せそうな顔を見ているうちに、ふと、ある感情が湧き上がってきました。
「今日はたくさん失敗してしまったけれど、これまでの関わりは、間違っていなかったのかもしれない。」
そんな、温かい気持ちをもらった気がしたのです。
子供たちが眠りについた頃、思ったよりも早く妻が帰ってきました。
妻の顔を見た瞬間、肩の荷がスッと降りるのを感じ、自分がどれだけ張り詰めていたかに気づかされました。
本当に、まだまだ私も未熟者です。
子育ては、本当に反省の連続です。
自分の未熟さにうんざりすることもあります。
それでも、子供たちの笑顔を見ていると、「もっともっと頑張らなくては」と思えてしまうから不思議です。
ここで、冒頭の質問に戻ります。
「地球最後の日」に、あなたは何をしたいですか?
今の私なら、迷わずこう答えます。 「いつもと変わらない一日を、家族と一緒に過ごしたい」と。
それは、私が熱中してきた仕事や趣味をも凌駕するほどの、圧倒的な「生きがい」です。
私たちのブログでは、こうした「熱中できる物事に関する幸福」を【キャリアの幸福】と定義しています。
楽しいことばかりではない。
正直に言えば、嫌なことも、逃げ出したくなることもたくさんある。
それでも、妻や子供たちと過ごす時間は、何にも代えがたい、私にとってかけがえのないものです。
大変な一日を通して、私は自分の「キャリア」の本当の意味を再確認することができました。
あなたの「生きがい」は何ですか?
この記事を読んで、あなたは何を感じましたか?
もし、日々の忙しさに追われて、大切なものを見失いそうになっているなら、ぜひ一度立ち止まってみてください。
そして、自分にとっての「生きがい」は何かを考えてみませんか。
まずは、今日の私のように、大切な人と温かい時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。
一緒にホットケーキを焼くだけで、きっと心は少し軽くなるはずです。
その温もりの中にこそ、あなたの人生を輝かせる「本当のキャリア」のヒントが隠されているかもしれません。
自分のやりたいことがわかったら、ぜひそれに従ってみてください。
そうして自分の心の声を聞いているうちに、本当にやりたいこと、「生きがい」を見つけられるのだと思います。
生きがいのある人生は、きっと昨日より輝いて見えるはずです。