「最近、何かに時間を忘れるほど夢中になったことはありますか?」
毎日仕事や家事に追われていると、そんな時間はなかなか持てないかもしれません。
私もそうでした。
子供との時間でさえ、どこか「付き合ってあげている」という感覚が抜けずにいました。
まさか、そんな私が娘との何気ない時間の中で、自分の人生の幅を広げてくれるほどの「熱中できる趣味」を見つけることになるなんて、思いもしませんでした。
きっかけは4,000円の映画と1枚のチラシ
お盆休み、私は妻の実家へ帰省していました。
今日は、4歳の娘と2人でアンパンマンの映画を観に行くことに。
6月末から公開されていた映画ということもあり、広いシアターにお客さんは私たちを含めてたったの4組。
ほぼ貸し切り状態で、娘も大はしゃぎです。
普段は動画配信サービスで見ているアンパンマンも、映画館の大きなスクリーンと音響で見ると迫力満点。
この「特別な空間」が、娘だけでなく私の興奮度も上げてくれていました。
ただ、正直なところ、親子2人で3,000円のチケット代は少し懐に痛い……。
さらに、娘が欲しがったパンフレットも買うと、あっという間に4,000円弱の出費です。
「次からは、計画的に貯金してから来ないとな」なんて、現実的なことを考えてしまいました。
しかし、この日の本当の価値は、映画そのものではなく、劇場で手に入れた一枚のチラシに隠されていました。
それは、秋に公開されるプリキュア映画の宣伝チラシ。
裏面が塗り絵になっていたのです。
プリキュアが大好きな娘は、そのチラシを見つけるなり満面の笑み。
「これ、もらっていいの?」と宝物のように握りしめていました。
アンパンマンの映画に満足し、プリキュアの塗り絵まで手に入れた娘は、ホクホク顔で帰路につきました。
「できない」から始まった、予想外の共同作業
家に帰ると、妻たちはまだ出かけていて誰もいません。
家に入るなり、娘は「そうだ!塗り絵しようよ!」とやる気満々。
さっそくクレヨンを広げ、塗り絵に挑戦します。
しかし、その塗り絵は4歳児には少し複雑だったようです。
キャラクターの髪の毛や衣装の飾りが細かく、すぐに枠からはみ出してしまいます。
画像はこれです。

おじさんが1人でやるにはハードルが高いけど、娘とやる分にはまったく問題ありません笑
(ちなみに、この塗り絵は公式サイトからダウンロードできますよ! → https://2025.precure-movie.com/nurie-cp/)
この難易度の高い塗り絵に、あれほど意気込んでいた娘の勢いは、みるみるうちに失速。
「もう、おしまいにする……」と、クレヨンを片付けようとします。
できない悔しさからか、「明日にする……」と負けず嫌いな一面を覗かせながらも、その肩はしょんぼりと萎れていました。
その姿がなんだか切なくて、仕方がありませんでした。
せっかくの楽しい一日の思い出が、この塗り絵のせいで「できなかった」という悔しい記憶で終わってしまう。
それだけは避けたかったのです。
私は思わず声をかけました。
「じゃあ、パパと一緒にやらない?」
娘の笑顔が見たいという、ささやかな【人間関係の幸福】を求めてかけた言葉。
それがまさか、私自身の新しい【キャリアの幸福】の扉を開くことになるなんて、この時はまだ知る由もありませんでした。
「いいよ!」と、娘の声がパッと弾みます。
「じゃあ、パパはこれ塗ってね!」と指さされたのは、プリキュア本人ではなく、周りに散りばめられたハートや珊瑚たち。
私は心の中で「えぇ……主役じゃないのか……」とつぶやきました笑
せっかくなので「パパもプリキュア塗っていい?」と交渉すると、「えー、いいよ」と少し渋々ながらも許可が下りました。
「ない色は、作ればいい」私にとっては画期的な発見
こうして始まった親子での塗り絵タイム。
しかし、実際に塗り始めると、今度は私が壁にぶつかります。
子供用のクレヨンは、色の数が限られています。
一方で、プリキュアの衣装は実に多彩。
同じピンクでも濃淡があったり、絶妙な色合いだったりします。
手元のクレヨンでそのまま塗ると、のっぺりとした一色の衣装になってしまい、あのキラキラした感じが全く出ません。
「うーん、どうしたものか……。」
そこで、ふと思いついたのが「色を重ねて、ない色を作る」という方法でした。
普段から絵を描く方には当たり前の技術でしょう。
しかし、美術の成績がどんなによくても3だった私にとっては、40年近く生きてきて、今さらながらの大発見だったのです。
・濃い青を作りたいなら、まず青を塗り、その上から黒を薄く重ねる。
・見本にある淡い紫色は、ピンクをベースに塗ってから紫を優しく重ねる。
こうして試行錯誤しながら、少しずつ見本の色に近い色合いを自分の手で作り出していく。
この作業が、信じられないくらい楽しかったのです。
「学生時代にこのことに気づけていたら、もっと美術が好きだっただろうな。」
そんなふうに思うくらいには、私にとって感動的な発見でした。
気づけば、私は完全に没入していました。
娘が次々と3人のプリキュアを塗り上げていく横で、私はたった1人のプリキュアに全集中力を注ぎ、理想の色作りを追求していました。
趣味に「没頭する」幸福
すべてのキャラクターを塗り終えた頃には、心地よい疲労感と、大きな達成感が私を包んでいました。
お手本通りに仕上げられた満足感は、格別です。
「大人の塗り絵」が趣味として成立している理由が、この時、はっきりと分かりました。
・没入できる:目の前の作業に集中し、雑念を忘れられる。
・達成感を味わえる:自分の手で作品を完成させる喜びがある。
・時間がかかる:手軽に始められて、長く楽しめる。
・安価:初期投資がほとんどかからない。
これだけ揃えば、立派な趣味として申し分ありません。
私が疲れて目をこすっていると、娘が最後のキャラクターを塗り終えました。
完成した達成感に満ちた顔で、プリキュアとは関係のない背景の細部まで、丁寧に色を塗り足しています。
完成した作品を並べて、二人で写真撮影。

どれが私の塗ったものかわかってもらえたら嬉しいですね笑
そうこうしているうちに、妻たちが帰ってきました。
玄関まで走っていった娘は、多くを語りません。
ただ、完成した塗り絵を妻に「見て!」と掲げるその姿は、自分の作品に対する静かな自信に満ち溢れていました。
一方の私は、「この紫はピンクの上に重ねて作ったんだよ!」と、我ながら呆れるほどの早口で、色の工夫を熱弁していました。
絵を描くのも色を塗るのも苦手だったはずの自分が、こんなにも生き生きと語っている。
その事実が、この塗り絵体験がいかに有意義だったかを物語っていました。
日常に隠れた幸福の種を見つけよう
自分一人では、一生やることはなかったであろう、プリキュアの塗り絵。
でも、娘と一緒に取り組むことで、私は新しい世界の扉を開くことができました。
人生の幅が、また少し広がった気がします。
4,000円の映画鑑賞という「消費」する体験も素晴らしいですが、無料のチラシから生まれた「創造」する時間は、全く別の種類の、そして想像以上に深い幸福感を与えてくれました。
子供が「パパ、一緒に遊ぼう!」と言ってくれる時間は、案外短いのかもしれません。
その貴重な時間で、これからも私は全力で「遊んでもらおう」と心に決めました。
この記事を読んでくださっているあなたも、日常の何気ない瞬間に目を向けてみませんか?
もしお子さんがいるなら、次の休日に一緒に塗り絵を広げてみてください。
子供の「できない」は、大人が新しい楽しみを見つけるチャンスかもしれません。
もちろん、一人で始めてみるのも最高です。
今は100円ショップでも、驚くほどクオリティの高い塗り絵や色鉛筆が手に入ります。
普段なら素通りしてしまうような小さなきっかけが、あなたを夢中にさせる【キャリアの幸福】につながっているかもしれません。
たまにはスマホを置いて、ただ目の前の作業と向き合う時間を作ってみてはいかがでしょうか。
心が整っていくような、穏やかな感覚を味わえます。
上手い下手は関係ありません。
はみ出したっていいんです。
大切なのは、あなたが「没頭する」時間を楽しむこと。
美術が苦手だった人でも、大人になった今は楽しめるかもしれませんよ。
まずは、一枚の塗り絵から、その扉をノックしてみてはいかがでしょうか。